<   2011年 02月 ( 4 )   > この月の画像一覧

 3人の第1コンサートマスター

e0222513_1204475.jpg
左・Michael Erxleben氏   真ん中・私   右・Michail Sekler氏


先日、来シーズンのオーケストラ冊子の為の写真撮影をしました。プログラムや指揮者のインタビューなどが載っているこのオーケストラ冊子、各オーケストラがシーズン毎に作ります。各オーケストラ、かなり気合いを入れて作っているように思いますが、日本から来られた方に”これ無料ですか?”と確認されるほど立派なものです。少々身びいきかもしれませんが、コンツェルトハウス管の冊子は中でも毎年とても素敵な作りになっていると思います。
毎年写真の撮り方が変わり、昨年はグループ毎、一昨年は全体写真のみでしたが、今年は楽器に関わらず自由な組み合わせで撮ることになりました。が、コンサートマスターは3人一緒に撮りましょうということで、先日3人集まりました。
基本的に3人の第1コンサートマスターが一緒にオーケストラで演奏することは無く、1回のコンサートで多くて2人、ほとんどの場合1人しかのりません。ですので、3人一緒に顔を合わせることは実はあまりありません。
この機会に、お2人のことを少し紹介したいと思います。

まずエアックスレーベン氏(写真・左端)。彼とはオーケストラ以外でも共演させて頂いたことがあったり、何かと困った時、またオーケストラのことだけに限らずたくさんのことを親身になって相談にのって下さる方で、非常に信頼しています。彼は東ドイツ時代、東ドイツの若きホープだった人です。1982年から第1コンサートマスターとして働いていますが、西ドイツと東ドイツが統合されたことによって状況がかなり変わり、話を聞く限り、彼はその時代の流れに非常に翻弄された人でもあると思います。彼を初めて見たのは、私がベルリンに来て2ヵ月後、初めてコンツェルトハウス管を聴きに行った時です。大きくて怖そうでにこりともせず、何とも独特の雰囲気を漂わせていました。(失礼!実際は違いますよ。)彼は古楽器も弾きこなし、バロックの音楽にも並々ならぬ情熱を持っていますが、何といっても本当にたくさんの知識を蓄えている人でもあり、尊敬している人の一人です。そして何と、これはこのオーケストラに入ってから気付いたことなのですが、私が高校時代にショスタコーヴィッチのコンチェルトを勉強していた時に、彼がコンツェルトハウス管と弾いているこのコンチェルトのCDを購入していたのです!あまり聞き慣れない名前だったこともあり、何回も聴いていたわりに名前を覚えていなかったのですが、まさかこんなめぐり合わせがあるとは・・・。人生って不思議です。

そしてゼクラー氏(写真・右端)。彼はロシア出身で1990年にドイツに移住し、このオーケストラで働き始めました。彼は非常にマイペース。いつも落ち着いていてにこやかで、演奏中に何が起きようと動じません。”さやこはもっと食べなければいけない”と会う度に言われますが(笑)、私がアメリカでロシア人の先生に習っていたこともあり、話し方、考え方など親近感を覚えます。彼はオイストラフの弟子だったので、話しているとオイストラフの話も出てきておもしろいですし、どんな時にも和みを与えてくれる人です。

それにしても、私はこんな素晴らしい”同僚”を持てて幸せものだと思います。2人とも私が試用期間の時から親身に、時にはアドバイスをしながら引っ張ってくれました。2人と隣同士で弾く時は、彼らの経験、知識に触れることが出来るので、とても楽しいです。甘えてばかりいないで、2人の背中を見ながらしっかり学んでいきたいです。
[PR]
by Sayakomomo | 2011-02-26 02:00

 心に残る一日

今週末にカール・フィリップ・エマヌュエル・バッハギムナジウム校との”Patenschaft"コンサートがあります。このバッハギムナジウム校は旧東ドイツの時代、音楽家のエース達が軒並み勉強していた学校で、そのレヴェルたるもの、もの凄く高かったとよく聞きます。私のオーケストラは旧東ドイツのオーケストラだったので、40歳代から上の団員はほとんどといっていいほど、この学校の卒業者です。
このパーテンシャフトコンサートは、オーケストラの団員とバッハギムナジウム校の生徒が半々ずつ混ざって一緒に演奏するもので、1997年以降毎年一回行われています。
今回私は初めてこのプロジェクトに参加していますが、もちろんパーフェクトとはいきませんが、やる気、熱気共に非常に素晴らしく、一緒に弾いていて微笑ましく頼もしく感じています。リハーサルの一日目にはそれぞれのグループ(楽器別)に分かれてのグループ練習があり、私は第一ヴァイオリンを受け持ちましたが、反応も早く、よく勉強してきているなと感心しました。

実はリハーサルの一日目が私の誕生日だったのですが、その日は朝・晩リハーサル。朝行われた第一ヴァイオリンのグループ練習の時、オーケストラの団員がアナウンスしてみんなが私の為に”Tusch”(ファンファーレ)をしてくれました。(これはオーケストラ恒例行事です。この詳しい話は又後日・・・)バッハギムナジウム校の先生からも何とも温かい祝辞を頂きそれだけでも嬉しかったのですが、何とその夜の全体リハーサルの時、生徒達がかわいいお花鉢をプレゼントしてくれたのです。(写真)

e0222513_1444994.jpg


このプレゼント、あまりにも嬉しかったので、今回のブログに書くことにしました。そしてオーケストラ全体で素敵な祝辞付き”Tusch”も!さりげなく温かいプレゼントをしてくれた人もいて、思い出に残る何とも嬉しい一日となりました。
母親になってからは、自分の誕生日のことなど構わなくなってしまい、思い入れも薄くなってきていたのですが、今回本当に素敵な祝い方をして頂いて、誕生日ってやっぱり特別なんだなぁと思いました。そして誕生日の時のオーケストラの”乗り番”ってなかなかいいものなんだなぁと思いました!(笑)

とりあえず、今週末までの短い期間ですが、バッハギムナジウム校の生徒達と楽しみたいと思います!
[PR]
by Sayakomomo | 2011-02-17 02:42

 コンサートマスターへの質問

今週末は定期演奏会でベートーヴェンの交響曲第6番”田園”を演奏しました。
指揮はオーケストラの首席指揮者、ツァグロゼク氏です。
ツァグロゼク氏はベートーヴェンやモーツァルトなどの古典をよくプログラムに取り入れますが、彼のこだわりは”ノン ヴィブラート”!つまり音を響かせる為のヴィブラートなしで演奏することです。”ノン ヴィブラート”で演奏するには、ボーイングの使い方も普段と変えなくてはならず、ましてや音程も全くごまかせないのでなかなかきびしいものがあります。そして何といっても大事なのは”アーティキュレーション”。一つの音から次の音へいく時にどのような長さやタイミングでいくのか・・・一つ一つの音の長さは音型を作っていくので、非常に重要です。

で、今回のリハーサル中、またたくさんの質問やご指摘がオーケストラのメンバーから私に向かって飛んできました。
”この音はスタッカートも”くさび”もついていないけれど、一体どれくらいの長さで弾くの?” 
”このスタッカートはどれくらい短く弾く?(又は長く弾く?)” 
”このトリルは上の音から?それとも下の音から始めるの?” 
”この音の長さがみんなまちまちだけどどうするの?”
”ここでは弓を一度戻す?それとも戻さない?”
”このスフォルツァンドの加減は?”
”このクレッシェンドはメッツォ フォルテまで?それともフォルテまで?”

毎度のことなのですが、きりがありません。他の国のオーケストラで働いたことがないので、どこの国のオーケストラでもこのような質問が飛んでくるのかは分かりませんが、知人の話を聞く限り、これはドイツ特有のものだと認識しています。
今でこそ慣れっこになりましたが、初めて”この8分音符はどれくらいの長さで弾くの?”と聞かれた時は本当に焦りました。”え?そんなことを決めるのもコンサートマスターの仕事なの?ただの8分音符。普通に8分音符の長さで弾けばよいのに・・・”と内心思いましたが、まさかそうとも言えず”指揮者に確かめてみるね。”と言いました。確かに8分音符にも色々あります。長いのや短いのや、弾く弓の場所によっても大分印象が変わります。もちろん指揮者が的確に指示してくれる場合もありますが、いまいちあいまいな時も。そうなるともう全ての音の長さが気になってくるのです。
一つのクレッシェンドにしても、どれくらいまで大きくするかというのは実はとても大事なこと。それにしてもメッツォ フォルテ(少し大きく)までかフォルテ(大きく)までかとは・・・・・。いやはや参ってしまいます。
このような質問は日常茶飯事のように起こることが分かってからは、信頼できるスコア(オーケストラの全パートがのっている楽譜)を手に入れて事前に勉強していき、リハーサルでおもわぬ質問をされた時にでもすぐチェックできるよう持ち歩くようになりました。
でも結局何が一番大事かというと、オーケストラのメンバーにこういう質問をされた時、答えが何であれすぐに自分の意見・考えを即答できるということなんだと思います。つまり、メンバーを”迷わせない”ということです。指揮者がどういう音楽を作りたいのかきちんと把握することがまず大事ですが、指揮者の考えがよく分からない時には、自分の信じる道をいきます。その時の為にもできるかぎりの準備をしなければならないし、とても難しいことなのですが、私お得意の”迷える鳥”になってはいけないのです。

自分が思い描いていた通りの音がみんなで出せて、それが音楽にフィットした時の楽しさや嬉しさはひとしおです。そんな瞬間を増やす為にも、もっともっと学ばないといけないなぁ・・とリハーサルの度に思うのでした。
[PR]
by Sayakomomo | 2011-02-13 10:19

 フォルクヴァンク美術館 in Essen

e0222513_7493479.jpg

     Camille Pissarro / カミーユ・ピサロ : Avenue de l'Opera, 1898
     ©www.malerei-meisterwerke.de


ヨーロッパに来てから絵を見ることや建築物に前よりもっと興味が沸いてきて、大好きになった私。専門的に詳しく・・というより、私の趣味や偏見、又はその時の気分で楽しんでいます。

今週の初め、私用にかこつけて前から行きたかったエッセンのフォルクヴァンク美術館(Museum Folkwang)に行ってきました。ここの美術館はコレクションの素晴らしさで有名ですが、去年の10月から今年の1月30日までパリ・印象派展を開催していて、その評判が良かったのでぜひともこの機会に・・と思い最終日に滑り込みました。
混んでいると聞いていたので、事前にインターネットでチケットを購入していきましたが、着いたら案の定すごい人。
中に入るとドイツの美術館ではめずらしく、絵の前に人がたかってよく見えない・・・しかも顔を出す隙間があまりない・・・・私は日本人にしては背が高い方ですが、この時は初めてといっていいほど、ドイツの人達との背の高さの違いを実感しました。
最終日前日にはチケットを買うのに4時間も費やした人達がいたほどの人気でしたが、内容は思ったよりあっさりめ。もちろん私が好きなピサロの絵もあったし(冒頭の絵)、ルノワール、モネ、ゴッホ、カイユボットなどの有名な絵が何点か集まっていて充実していましたが。ただ特別展ということもあり展示の仕方が工夫されていて、その点ではとても楽しめました。一つの部屋毎に”パリの風景”、”モンマルトルの丘”、”大通り”、”カフェ”、”セーヌ川” などのテーマを掲げてそれに関する絵を展示してありました。風景や歴史的な写真がたくさん展示してあったこともあり、このテーマに沿って全てを見終わった後は、パリを旅してきた気分になる人が多かったのではと思います。

   
    このアメリカ人画家の絵も何ともいえない上品さ、美しさです・・・。
e0222513_8152762.jpg
John Singer Sargent/ジョン・シンガー・サージェント : Im Jardin du Luxemburg 1879
© steveartgallery


一日おいて次は美術館の常設展へ。前々日と打って変わって人がいない・・・。
でも、そのコレクションの素晴らしかったこと!本当に心から楽しめました。始めから最後まで名画を独り占め状態で、何回もいきつ戻りつ見て回りました。私が興味を持っているエミール・ノルデやジェームス・エンサーの素晴らしい絵がいくつもあり、またアンリ・マティスの ”これもマティスの絵?”と思うようなものも!(ただの勉強不足) 
この美術館には例え一点でも、世間に知られている画家の作品が、必ずといっていいほどありました。

このような素晴らしい思いを味わった後のベルリンへの帰途は、かなりすがすがしい気分でした!


e0222513_748865.jpg

   James Ensor / ジェームス・エンサー : Le Christ marchant sur la mer, 1883
   © VG Bild-Kunst, Bonn 2010
[PR]
by Sayakomomo | 2011-02-04 08:54