ベルリン・コンツェルトハウス室内オーケストラ

 6月に入り、夏も間近にやって来ました。この2ヶ月はベルリンでのオーケストラの乗り番が続いたり、オーケストラのメンバーとのカルテットの演奏会、そして極めつけ(!)に、一昨日ベルリン・コンツェルトハウス室内オーケストラの定期演奏会が行われました。オール・バロックプログラムで、バッハのブランデンブルク協奏曲の第1番や、ヴィヴァルディのエコー協奏曲、ビーバーのバッターリアなどを演奏しました。いつもたくさんの方が聴きに来て下さるのですが、今回は何日も前から完売で、みんな益々気合が入りました。

 室内オーケストラを弾き振りし始めて4年目になりましたが、リーダーとしての責任・圧迫感は、他のコンサートではちょっと味わえないものがあります。まず大事なことは、リーダーがいかに前準備をするかということで、何週間も前から何度も楽譜を読み込んで自分で納得したところで、全ての楽譜に弓使いや強弱・アーティキュレーションを書き入れていきます。

e0222513_22552345.jpg
(こんな感じで全てのパートに書き入れていきます。特にバロック音楽はアーティキュレーションが全てですので、どこに音楽が向かうかということが分かりやすいようにします。)


 ほんのちょっとした書き方、又書き入れる位置で随分みんなの弾き方が変わってくることを経験上学んだので、書き入れる時には、細心の注意を払います。もちろん、リハーサル中にも説明しますが、限られた時間内で全てのことを理解してもらえるわけでもないので、前準備が大事なのです。ただ、リハーサルが始まり実際に音が鳴ってみると、”こんな筈ではなかった・・”というようなことが、多々出てきます。特に今回の様に弦楽器にホルン2本、オーボエ3本が加わったバッハのブランデンブルク協奏曲の第1番は、人数も多く、みんなで一緒の方向性を持って演奏することが、いかに難しいことなのか改めて感じました。
コンサートの成功への第一歩は、リーダーがいかに良いリハーサルをするかにかかっています。リーダーの私がどれだけ自分の目指すところを確信持って打ち出せるか、そしてみんなで一つの音楽をどれだけ同じ方向性を持って共有する作業をできるか・・・いざコンサートで演奏となると、もう私に出来ることは分かりやすい合図を出すくらいで、後はみんなのアンサンブル能力が必要となります。この相互関係が上手くいって、初めて良い演奏へとつながります。そんな危うさも指揮者なしの室内オーケストラの一つの魅力なのかもしれません。色んな解釈があり、これが絶対に正しいということはない”音楽”を演奏していくうえで、どれだけ効率良く、分かりやすくリーダーとしてみんなを引っ張っていけるか・・・これからも私にとって大きな課題であると思っています。
 もちろん、ただただ純粋にみんなで演奏することを楽しめた瞬間もたくさんありました。例えばビーバーのバッターリアは演奏するのを心待ちにしていた曲。この曲に関していえば、最大限みんなで一つの音楽を共有できたのではと思います。
そしてもう一つ、いつもと違ったのはライブ録音をしたということでした。今シーズンの3回の定期演奏会、ベルリンのBシャープスタジオという所からCDが発売されることになっているので、リハーサルの3日目、GP、そしてコンサートとずっとマイクを意識してのリハーサルと本番。前回と前々回の定期演奏会は事情で参加できなかったこともあり、私にとっては初めての室内オーケストラ・ライブ録音となります。出来上がりは夏以降になりますが、今からドキドキです。


 そして昨日の夜は、この夏日本ツアーに行く時のメンバーが我が家に集まり、パーティをしました。お寿司などの日本食に日本酒、和菓子・・・残念ながら全員は集まれませんでしたが、とても賑やかで楽しい夜になりました。

e0222513_22562524.jpg
日本酒で乾杯!


 日本に行ったことのないメンバーが何人かいて、色々と聞かれましたが、私が答えるより先に、何度も日本滞在経験のあるチェロのアンドレアス(真ん中)が全ての質問に答えてくれ、しかもドイツとの日照時間の違いまで説明してくれて、私の出る幕は全くなかったので、一同大笑いでした!その隣のチェロのダミエン(右から3人目)は、ついこの間もラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポンで演奏する為、日本に行ってきたそうです。日本ツアーのプログラムは前半がバロック、後半がロマンティック・現代と、室内オーケストラの魅力がたっぷり楽しめるものです。みんなで一緒に一つの音楽に向かう姿勢を大事に、そして、私達だけにできる表現方法を模索しつつ、リハーサルに力を入れていきたいと思います。
梅雨の真っ最中ではありますが、たくさんの方達にご来場して頂いて、音楽の持っている様々な魅力を皆様と分かち合えたらと思います。

 私達の初来日コンサート、ぜひ聴きにいらして頂けたらと思います!



・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ベルリン・コンツェルトハウス室内オーケストラ
コンサートマスター&ヴァイオリン独奏/日下紗矢子
日本ツアー情報

■7月1日[月] 19:00東京・武蔵野市民文化会館(小)

■7月4日[木] 19:00高松・アルファあなぶきホール(小)

■7月5日[金] 19:00西脇市立音楽ホールアピカホール

■7月6日[土] 15:00豊田市コンサートホール

■7月7日[日] 15:00横浜・フィリアホール


<曲目>
ヘンデル:合奏協奏曲ト長調Op.6-1,HWV319
J.S.バッハ:ヴァイオリン協奏曲 第2番 ホ長調 BWV 1042
J.S.バッハ:G線上のアリア(管弦楽組曲 第3番 ニ長調 BWV1068 第2楽章 エア)
ビーバー:戦闘(バッターリア)ニ長調
ラウタヴァーラ:組曲「村の音楽師(ペリマンニたち)」Op.1
チャイコフスキー:弦楽セレナード ハ長調 Op.48
[PR]
# by Sayakomomo | 2013-06-02 00:12

CDリリース

もはや誰もチェックして下さることがないほど更新が遅れました・・・。前回のブログでは、読響のコンサートマスター就任の話を書きましたが、1月の上旬にめでたく正式にゲストコンサートマスターデビューをさせて頂きました。大野和士さん指揮のアルペン交響曲、楽しかったです。何と魅力的な曲かと思いますが、私が初めてこの曲を弾いたのは、何年か前のベルリン・コンツェルトハウスでの演奏会。曲が始まってから終わるまでの長い道のりを経た時には、本当に登山してその風景を一緒に見てきたかのような充実度に感動したのを覚えています。そして、貸し譜だった譜面に日の出や日の入りの絵が描かれていたことまで、懐かしく思い出しました。(要は落書きなのですが、曲にきちんと合わせて描かれていたのでイメージバッチリでした。)もちろん、今回の楽譜(読響さんの持ち譜)は理路整然!でした。

さて、そろそろ宣伝が行われているかと思うのですが、この度、日本コロムビアからCDをリリースさせて頂くことになり、3月11日に浜離宮朝日ホールにてCDリリース記念コンサートが行われることになりました。CDのブックレットにも少し書かせて頂きましたが、東京とベルリンでの録音期間、本当に音楽に夢中になることが出来て、シャコンヌも室内オーケストラとのコンツェルトも、弾けば弾くほど楽しい!といった感じで、はまりました。その私達が感じた楽しさを聴いて下さる方達が少しでも感じて頂けたら、これ以上嬉しいことはないように思います。バッハについて色んな意見があると思いますが、私はただただ、我が道をいきました。浜離宮朝日ホールでのコンサートは、コンツェルト以外のCDに録音した全ての曲を演奏することになりますが、ベートーヴェンのクロイツェルソナタも併せて、今私が感じている音楽を直球でお届けできればと思っております!

e0222513_7234124.jpg
CDジャケットの撮影風景。カメラマンさん、メイクさん、スタイリストさん、デザイナーさん、そしてそれぞれのアシスタントの方達。皆さんの素晴らしいお仕事のおかげで、私は大変身させて頂きました。ありがとうございました!


そして、今回のコンサートで共演させて頂くのは、ピアニストのオズガー・アイディンさん。(昨年5月のブログにも登場。)つい先日お会いして、ご飯をご一緒させて頂いた時に、ガトー・ショコラと一緒に写ってもらいました。ピアノに向かっている時以外はこんな感じの方です。(本人と奥様の写真掲載の許可アリ。笑)
e0222513_763711.jpg

このガトー・ショコラについては言及させて頂かなければなりません。1月某日カルチャーセンターで即席講師をさせて頂いた時、ケーキ作りの話になったのですが、自称一番得意ケーキでもあるケーキの名前が出てこず(ガトー・ショコラ!)、非常に恥ずかしい思いを致しました。本当だよーという意味を込めて、ここに掲載させて頂きます。ちなみにケーキの上に乗っかってあるのは、黒イチゴ。これは奥様が用意して下さっていたのをオズガーが飾り付けに適当に乗っけてくれました・・。


オズガーとは東京だけなく、北海道や長野でも演奏させて頂きます。
もうすぐ日本の皆様の前で演奏させて頂くのを楽しみに、日々音楽と向かい合っていきたいと思います!


 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

CDリリース記念ヴァイオリン・リサイタル
2013年03月11日(月) 浜離宮朝日ホール 開演19:00

曲目
J.S.バッハ:ソナタ ホ短調 BWV1023
ベートーヴェン:ソナタ 第9番 イ長調 Op.47「クロイツェル」
メシアン:主題と変奏
J.S.バッハ:管弦楽組曲 第3番よりエア
J.S.バッハ:アリオーソチェンバロ協奏曲 第5番 ヘ短調 BWV1056 第2楽章)
J.S.バッハ=コダーイ:リュートのための前奏曲 BWV999(コダーイによるヴァイオリンとピアノのための編曲版)
J.S.バッハ:シャコンヌ(無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ 第2番BWV1004より)



日本コロムビア/日下紗矢子公式ページ
http://columbia.jp/kusakasayako/index.html
[PR]
# by Sayakomomo | 2013-02-11 09:19

読響・コンサートマスター就任

 前回のブログ更新からだいぶ時間が経ってしまい、その空白を埋めなければと思っていたのですが、今日は皆様にお伝えしたいことがあって!祝ブログ更新!となりました。
 私事ですが、この度2013/2014シーズンより読売日本交響楽団のコンサートマスターを務めることになりました。これからは、ベルリン・コンツェルトハウス管のコンサートマスターと読売日本交響楽団のコンサートマスターを兼任することになります。色んな事情もあり、初めの数年は読響のコンサートマスターとしての登場回数は限られていますが、少しずつ増えていく予定です。

 一つのオーケストラのコンサートマスターとして責任を果たし続けることだけでも決して楽なことではないのに、二つのオーケストラでコンサートマスターの責任を果たせるだろうかと、不安に思う気持ちも少しあります。でも、ドイツでコンサートマスターとして働き始めてから4年程経った今、自分が生まれ育った日本という国のオーケストラにもかかわってみたいと思う気持ち、そして興味深く思う気持ちが強く、また、読響の素晴らしいメンバーの皆様と一緒に音楽を作っていく喜びを味わってみたいという気持ちがあり、今回の就任に至りました。”音楽”を、聴いて下さる方達に伝えるということを通して、メンバーの皆様とそのかけがえのない瞬間を楽しんでいけたらなと思っております。

 就任してからの初登場は来年の7月を予定していますが、それまでに、11月19日の大阪公演でシベリウスを共演させて頂く他、来年の1月上旬にはゲストコンマスで出演させて頂く予定です。これからは、読響のファンの方達ともお顔を合わすことが増えていくことと思います。オーケストラの音楽の魅力を最大限お届けできるよう、一回一回のコンサートを大事にしていきたいと思っております。

 どうぞよろしくお願い致します!
[PR]
# by Sayakomomo | 2012-10-31 08:10