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2012年夏、日本へ!

日本はもう梅雨入りをした頃なのでしょうか・・・ベルリンにはまだ夏が到来していなくて、毎日着るものは相変わらず春・秋物。肌寒い日が続いていますが、明日日本に帰る私には、もう関係ありません!この季節に成田空港に降り立った瞬間に感じるあの湿った空気は、”帰ってきた”という思いと共に、一変に私をどっぷりと真夏の日本に浸からせてくれます。

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さて、7月1日に行われるトッパンホールでのエスポワールシリーズ最終回”六重奏”。その前哨戦ともいえるコンサートが、昨夜ベルリンの日独センターで行われました。演奏したのは、モーツァルトのディヴェルティメントKV563と、ベートーヴェンの弦楽三重奏曲作品9-3。トッパンホールでは、シュルホフとシェーンベルク、二つの六重奏の合間に、このベートーヴェンの弦楽三重奏曲を演奏します。何回も合わせを重ねて望んだ今回のコンサート、楽しかった!まず二曲とも弾き応えのある名曲であることもあり、ヴィオラのアンドレアスとチェロのシュテファンとのリハーサルが、いつにも増して内容が濃いものとなりました。二人とも本当によく気が効いて、茶目っ気があって、いつもニコニコしているのですが、そんな彼らの性格は演奏にもよく表れます。茶目っ気がありすぎて、みんなで対応し切れなくなることがあるのが玉に瑕!本番では、いつもより良い所、また逆に上手くいかなかった所、色々ありましたが、次の本番へ向けての良い課題が見つかりました。何より、素敵な空間で素晴らしい仲間と一緒に演奏しながら、その曲の魅力に取り付かれた感触というのは、いつまでも心に残るものです。東京でも、それぞれの曲の魅力を皆さんと共有できるほどの演奏ができたらと思っています。

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コンサートの後、お世話になった日独センターのスタッフの方達と打ち上げ。皆さんに大変よくして頂き、感謝です!


他にも、今回の日本滞在中、7月7日には神戸の松方ホールでピアニストの児嶋一江さんと一緒に演奏させて頂きます。児嶋先生は、私の赤ちゃん時代から今に至るまで、私のほぼ全てをご存知の御方。ご一緒させて頂くのは初めてのなのですが、有名なプロコフィエフの2番のソナタや、プーランクのソナタという何とも洒落た曲を演奏します。こちらもぜひチェックして頂けたらと思います!

それでは、また皆様に再会できるのを楽しみにしております!



コンサートの詳細・・・・・・・


2012年7月1日(日) 15時開演
トッパンホール

エスポワールシリーズ最終回”六重奏”

日下紗矢子(ヴァイオリン) / 甲斐摩耶(ヴァイオリン)
アンドレアス・ヴィルヴォール(ヴィオラ) / 鈴木康浩(ヴィオラ)
ステファン・ギグルベルガー(チェロ) / ダミエン・フォンテュラ(チェロ)


シュルホフ:弦楽六重奏曲
ベートーヴェン:弦楽三重奏曲 ハ短調 Op.9-3
シェーンベルク:弦楽六重奏曲 《浄められた夜》 Op.4



2012年7月7日(土)  15時開演
神戸・松方ホール

日下紗矢子(ヴァイオリン)
児嶋一江(ピアノ)

シューベルト:ヴァイオリン・ソナチネ第1番ニ長調
プーランク:ヴァイオリン・ソナタ
プロコフィエフ:ヴァイオリン・ソナタ第2番ニ長調
# by Sayakomomo | 2012-06-21 19:00

チューリッヒ

もう5月も半ばというのに、すっきりした気候にならないベルリンです。4月の日本滞在、3泊4日とミニマムな日程でしたが、素晴らしい音楽家達に出会い、気持ちよくモーツァルトを弾かせて頂きました。聴きに来て下さった方々、どうもありがとうございました!

さて、7月1日には私のトッパンホールでのエスポワールシリーズ、第3回目(最終回)が行われます。毎回、海外からゲストをお招きしているのですが、前回の第2回で共演させて頂いたチェロのペーター・ブルンズさんとは特に気が合い、去年のコンサートの後に”また一緒に弾こうね”などと言っていたのですが、本当に今年デュオを組んでヨーロッパで演奏させて頂いています。先週末は、一緒にチューリッヒに行ってきました。チューリッヒといえば、私が学生の時、毎年夏に、ウラディーミル・スピヴァコフさんのマスタークラスを受けに来ていたところ。10年ぶりのチューリッヒ、懐かしかったのですが、まずはコンサート・・・プログラムは、アレッサンドロ・ロッラのデュオで始まり、トッパンホールでも演奏したシュルホフのデュオ、そしてラヴェルのデュオでした。ロッラのデュオは、滅多に弾かれない曲なのですが、これがまた技術的にも難しい!パガニーニの先生だったというロッラ、カンタービレに歌う所と派手なヴィルトゥオーゾのパッセージが続く所の繰り返しなのですが、ペーターも私も脈が速い方?なので、自滅するテンポを取らないようコントロールしようね、なんて打ち合わせをしたほどでした!

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(コンサートの主催者はフリーメイソンでした。ペーターも私も非常に興味深く、たくさんのお話を聞かせて頂きました。終わった後のお食事会は、とても良い雰囲気で、同行した私の母と娘も、皆楽しめました!)

コンサートの次の日は、夕方のベルリンへの帰国便までの間、街中を巡りました。まず美術館に行き、ジャコメッティの作品を初めてと言っていいほどあんなにたくさん一度に鑑賞し、彫刻だけでなく特に彼の絵の素晴らしさにも開眼させられました。お昼は母のリクエストのチーズ・フォンデュ&ラクレット!ラクレットは前に一度お呼ばれになった家でごちそうになったことがあるのですが、今回もやっぱりおいしかったので今度機具を買ってみてもいいかなぁ、なんて思い始めました。

そしてその後、マスタークラスで来た時に私が毎年泊まっていた懐かしの学生寮へ向かいました。岡の上にあり、そこからの景色は絶景。特に夜景は美しく、故郷の芦屋の山上からの夜景をいつも思い出していました。

おぼろげな記憶を頼りに、トラムにのり、そして見つけたケーブルカーの駅。
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登っていくケーブルカー。
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山頂まで5分程。降りたら目の前に学生寮が変わらず建っていました。学生らしき人達が集って話している様子、聞こえてくるフルートの音、見下ろすチューリッヒの町並と湖・・・昔のままで本当に懐かしかった。

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学生寮の前で記念撮影!


たくさんの思い出ができた今回のチューリッヒ小旅行。チューリッヒは景色もきれいで町並みも洗練されていて住んだら素敵だろうな・・・と話しつつ帰途へ。でも、ベルリンに着いて家の前に立った時、娘がため息をつきながら、”あぁ、やっと帰ってきた。”と一言。やっぱり自分の家が一番ですね。

来週からはオーケストラのツアーでイギリスに行って来ます!




コンサートの詳細・・・・

トッパンホール ”エスポワールシリーズ” 第3回(最終回) 六重奏
2012年7月1日(日) 15時開演

ベートーヴェン 弦楽三重奏曲 作品9-3
シェーンベルク ”浄夜”  他
# by Sayakomomo | 2012-05-17 03:36

Probespiel/オーディション

もう春ですね!今日、日本大使館の前を通ったら桜が咲き始めていて、感激!きれいなピンク色の桜、情緒があってみとれてしまいました。

先日、午前のオケのリハーサルを終えた後、第2ヴァイオリンのトゥッティ奏者のオーディションがありました。大抵オーディションは2日に分かれてあります。一日目はVorprobespielで、プロのオーケストラにまだ所属していない人達や学生などをまずオーディションし、次の日のHauptprobespielには、前日から残った人と、既にオーケストラで演奏している人、又は、エキストラで演奏しにきていて顔見知りの人などが集まります。Vorprobespielには、ものすごい数の人がくるので、そのグループだけが審査しますが、Hauptprobespielは弦楽器全員と、管打楽器は各楽器ソロ奏者プラス一人が、聴かなければなりません。さぼった人には後日事務局からお手紙がきて、罰金(?)を支払うことになります。ちなみに、今回はVorprobespielに70人程を招待して(応募者は何百人という数でした・・)、Hauptprobespielは、23人弾きに来ました。

まず一次審査、お決まりのモーツァルトのコンツェルトです。これが、本当に難しい。よく弾かれるのは、4番と5番のコンツェルト。大抵の人は提示部で止められて終わりとなりますが、”これは・・・!”と思う人のみ、カデンツァも演奏してもらいます。
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一次審査はこのようにカーテンを引いて、顔・姿を見えないようにします。その人がどんな人なのかは、カーテンを開ける2次審査までのお楽しみとなります!


実は4月21日に群馬交響楽団とモーツァルトの4番を共演することになっている私、スコアを持っていって聴いていたのですが、その内、隣にいたコンマス同僚のドイツ人ミヒャエルと、アーティキュレーションや弓使いなどを談義し始めました。色んな強弱の付け方があるし、弓使いや音の切り方も千差万別。迷っていたことがたくさんあったので、ミヒャエルの意見を聞けたことは、とても勉強になりました。ミヒャエルに感謝!
それにしても、この時ばかりはみんな自分のことを棚に上げ、かなりシビアに批評をします。この人はここがダメ、あの人はここがダメ・・・となり、結局2次審査に進んだのは、7人。2次審査ではロマン派/近現代のコンツェルトを弾きます。いつもはブラームスが多いのですが、今回はチャイコフスキーが目立ってました。ただ不思議なのは、一次のモーツァルトでいいなと思った番号の人達が2次審査でこけてしまったこと。これがオーデイションの厳しさなのか、それともモーツァルトの摩訶不思議さ、そして難しさなのか・・・
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オーディションの合間の一コマ。一人一人に番号が書かれた紙が渡されて、その番号の人が演奏を終える度に、感想を書き込んでいきます。たった5分聴いただけでよくこれだけ書けるなーとみんなのシビア(?)な耳に感心すること、しょっちゅうあります。


みんなの疲れも限界になってきたところで、最終審査。4人残り、オーケストラの曲の難しい箇所をピックアップしたものを幾つか演奏します。この審査は、何と言ってもオーケストラで演奏経験のある人が、かなり有利。この人はこの曲を全く知らないで弾いているな・・・この人はオーケストラでの演奏の仕方が分かっていないな・・・など、すぐ分かってしまいます。全員の演奏が終わると、グループのリーダーやコンマスなどが演奏者についてコメントを出します。そして、多数決。その後、グループによる話し合い。そこで、最終候補者が決められて、その後、最終候補者への全員投票。もしそこで過半数いかなければ、また話し合い。そのポジションを空けたままにするか、もう一度違う最終候補者を出すかで論議します。
今回はけっこう揉めましたが、5時間かかったオーディションの結果、ベルリンフィルの元アカデミー生で、最近コンツェルトハウスのオケにエキストラで参加していた女の子に決まりました。
次の日のオーケストラリハーサル、第2ヴァイオリンのグループは皆さん2日間の疲労が溜まり、かなりお疲れ状態。グループのリーダーに大丈夫?と聞くと、ゆっくりお風呂につかったけど、まだ疲れが取れていない・・と答えが返ってきました。
オーディションは弾く方はもちろんなのですが、聴いている方も、良い人に入ってもらいたいという気持ちでみんな真剣に聴くので、双方非常にエネルギーを使うものなのですよね・・・

私は今回のオーディション、モーツァルトのことで演奏者とミヒャエルから刺激を与えてもらいました。そして改めて、モーツァルトのことをもっと知りたいなと思いました。オーケストラの曲を弾く上でも、リーダーとして、はっきりとしたアーティキュレーションを作る為に、よりよい弓使いを見つけていくことは、必要不可欠。とりあえず目前に迫った21日のコンサートまで、今まで以上にスコアを読み込んで、新しい発見をしていけたらな思います。
近場にお住まいの方は、ぜひ聴きにいらして頂けると嬉しいです!



コンサートの詳細・・・・

群馬交響楽団
2012/4/21(土)オープニングコンサート
群馬音楽センター  開場/18:00 開演/18:45

指揮:マックス・ポンマー
ヴァイオリン:日下 紗矢子

ルウタヴァーラ/ 《カントゥス・アルクティス》鳥と管弦楽のための協奏曲
モーツァルト/ ヴァイオリン協奏曲 第4番 ニ長調 KV.218
メンデルスゾーン/ 交響曲 第4番 イ長調 作品90 「イタリア」

http://gunkyo.com/
# by Sayakomomo | 2012-04-01 08:39